家族の介護『お母さん、デイサービス行こうよ!』現役ケアマネージャーも困った介護の悩み

老人ホームの種類【介護老人保健施設】

介護保険サービスを利用する【介護老人保健施設】

 

介護老人保健施設は、通称老健(ろうけん)と言われている施設です。

 

施設の職員には、常勤医師、24時間体制の看護師、リハビリの専門職員、介護士、施設ケアマネージャー、管理栄養士などがいて、施設に入所している方が一日でも早く自宅へ帰れるように、他職種連携を図りながら支援しています。

 

介護老人保健施設は病院と自宅の中間施設と位置づけられていて、施設内で療養、リハビリ、生活介護を行い、在宅復帰を目指します。

 

 

介護老人保健施設を利用するとき

 

介護老人保健を利用するのは、退院がきまったがこのまま自宅へ帰るのは不安と本人が感じていたり、家族も介護をするのが心配と感じている方や、床ずれや認知症状が思わしくなく、専門職による看護や介護が必要な方などです。

 

その他にも、農繁期で田植えや稲刈りの時期に定期的に利用する方や栄養管理とリハビリをして血統コントロールをするために利用する方などさまざまです。

 

具体的には
・脳梗塞で半身麻痺になり、病院でもリハビリをして見守りがあればトイレにも行けるようになったが、自宅へ帰ると日中一人になる時間があるので、見守りがなくても一人でトイレに行けるようになるまでリハビリを続けたい
・家族の介護では床ずれ(褥瘡)がなかなか治らないので、医師や看護師が24時間体制で診てくれる施設で暮らして改善してほしい
・食が細くなって痩せてきたので、管理栄養士や医師、看護師のいる施設で体調を戻したい
・糖尿病があり、インスリン注射をしているが、主治医から食事のコントロールでインスリンをやめることができると聞いた。自宅では家族がいない時に好きな物を食べてしまうので、施設で管理してインスリン注射をしないですむように改善したい
・家族の忙しい時期や夏場の脱水予防のために1〜2ヶ月施設で暮らしてほしい
などです。

 

介護老人保健施設の場合は療養が必要な方も利用できる施設です。

 

医師・看護師・介護士・リハビリの専門職に囲まれて、万全の態勢で在宅へ帰れるように支援してもらえます。

 

 

介護老人保健施設を利用する手順

 

介護老人保健施設に入所したい時は、ケアマネージャーにも相談しましょう。
疾患によってはリハビリをすることによって症状が悪化する場合もありますので、本人に最適な施設選びをすることが大切です。

 

また、見学にも行きましょう。
介護老人保健施設の定義はどこも同じですが、施設によってリハビリのやり方や余暇の時間の過ごし方、差し入れや面会の方法など違いはたくさんありますので、本人と家族の目で見て確かめるのが一番です。

 

その後、家族が施設へ申込みを行い待機が開始されます。
特別養護老人ホームと比べ、介護老人保健施設の場合は比較的早く順番がまわってきますので、いつでも入所できるように準備をしておいてください。

 

入所の案内がきたら、契約などを取り交わして利用の開始となります。

 

 

介護老人保健施設のサービス内容

 

介護老人保健施設では、さまざまなサービスが行われますが、主体は療養とリハビリです。
代表的なサービス内容は
・自宅の状況を想定したリハビリ
・食事の管理、栄養状態の管理
・必要に応じて血液検査や心電図などの健康管理
・医師の診察
・服薬の処方
・施設イベントの参加
・日常生活動作の声掛け、見守り、介助、介護
・入浴の提供と声掛け、見守り、介助、介護
・食事の提供と声掛け、見守り、介助、介護
・緊急時の受け入れ
などです。

 

 

介護老人保健施設のできないこと

 

介護老人保健施設でできないことは、入所期間が原則3ヶ月〜6ヶ月で、それ以上の利用になる場合は方向性が決まっていて、やむおえない事情がある場合です。

 

方向性・・・今後自宅へ帰るのか準備はすすんでいるのか
      今後特別養護老人ホームなどへの入所を考えているのか
事情・・・・今後自宅へ帰るつもりだが帰れない理由
      (家族の病状が思わしくない、バリアフリーに改修中など)
      今後他の施設へ入所予定で申込みをしているが空き待ちである 
など

    

 

みなさんリハビリをこのまま続けたいと考えていますが、入所後3ヶ月を経過すると、リハビリ時間が減ります。

 

その後は自主リハビリなども取り入れながら行っていくことになりますので、過大なリハビリへの期待だけではなく、本人のやる気も大切になってきます。

 

 

まとめ

 

・介護老人保健施設とは病院と自宅の中間施設で、医師・看護師・介護士・リハビリ職員などの専門員が連携を図りながら自宅へ帰れるように支援をする入所施設である
・介護老人保健施設は医師の診察や検査、薬の処方もおこなってくれる
・介護老人保健施設はずっと暮らせる施設ではない

 ※看取りケアを行っている施設は別の規定があります

 

 

 

 

空いている施設をお探しの方はこちらのページをご覧ください。

 

介護老人保健施設のQ&A

 

 

 

病院に早く退院するように言われてしまった、入所の申込みをしているが順番がきていないのでどうしたら良いのか?

 

通常は病院の医療相談員(MSW)と介護老人保健施設の支援相談員(SW)が調整を行い、施設の空きに合わせて退院するようにしてくれますが、遠方のまったくやりとりのなかった病院や、病院のベッド事情にもよりこの限りではありません。

 

その場合は実際に、また他の施設へいったん入所してもらうこともあります。
なので、施設の申し込みは1ヵ所ではなく数カ所しておくことをおすすめします。

 

まずは病院のMSWか施設のSWへ、その事情を話してみましょう。
どちらかに話をすれば、後は連絡を取り合って調整してくれます。

 

 

病院に行ってほしいと言われたが、医師がいるのになぜ病院にいかなければならないのか?

 

施設の医師にも専門分野があります。自分の専門分野以外の病気の疑いがある時や、施設ではできない検査(CTやMRIなど)の必要性がある時は、他課受診といって外の専門病院へ診察に行ってもらいます。

 

この時、施設の職員が同行できれば行いますが、そうでない場合は家族に付添をお願いし、後から医師の説明を施設の看護師が伺います。

 

また、介護老人保健施設の他課受診で大切なことは、薬をもらってきてはいけないということです。
施設では処方できない向精神薬や抗がん剤、モルヒネなどは例外ですが、それ以外の薬は施設で処方します。

 

また、血液検査や尿検査、心電図なども施設で行い、その結果を診療情報提供所に記入して病院へ提出するので、施設で行える検査も病院ではしてこないようにお願いしています。

 

このあたりは、担当した病院の医師が、どうしても今日の血液の状態が知りたいなど言った場合断ることができませんが、その場合医療保険が使えず全額自己負担となりますのでご注意ください。

 

施設で用意できる薬や検査は施設が負担するのが介護老人保健施設なので、医療保険は使えないといった仕組みです。
他課受診をするときは、施設の職員の説明を良く聞いてからお出かけください。

 

 

半年過ぎたのでいったん自宅へ帰って家族で介護をしてみようと思うが、無理だったらもどってこれるのか?

 

はい、空きがあればいつでも戻ってこれます。

 

また、退所後一定の期間(3ヶ月)が空けば、再度あらたな入所ということになり、リハビリの時間も増えますが、自宅へ帰って無理だと感じた場合は、再入所も視野におきながらショートステイやその他のサービスを利用して無理のない範囲で家族で介護を行ってください。

 

 

 

 

 

 


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