老人ホームの費用の基本部分について(介護保険制度を利用する場合)
老人ホームには、大きく分けて介護保険制度を利用する施設と利用しない施設があります。
介護保険制度を利用しない老人ホームの場合は、老人に優しい賃貸マンションに住むのと変わりないと思ってください。
そのため費用の差もピンからキリまでありますので、ここでは介護保険制度を利用する老人ホームの費用についてご紹介します。
まず、介護保険制度を利用する老人ホームには種類があります。
そして基本となる費用は、本人の介護度や施設の規模、体制、部屋の造りなどにより介護保険制度で決められています。
【老人ホーム別の基本料金(介護保険制度内)】
※介護度5の方で負担割合いが1割、1ヶ月を30日とし部屋はユニット型個室で比較
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 26,820円
※地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護も同様
・介護老人保健施設 29,550円
・介護療養型医療施設 38,190円
・地域密着型特定施設入居者生活介護 23,940円
・認知症対応型共同生活介護 25,140円
要介護5の方の比較しましたので、要介護1の方は更に2,730円〜15,180円安くなります。
※施設により差額は異なります。
いかがでしょうか。どの施設も1ヶ月の基本の費用だけみると、優々年金でまかなえる金額です。
逆に自宅で生活するよりも安いのではないかと錯覚を起こしてしまいそうになります。
しかし、老人ホームはこの基本費用以外に加算と滞在費、食費、日常生活費が発生します。
これが、老人ホームが高くなっている要因だとお考えください。
それでは、加算・滞在費・食費・日常生活費についてご説明します。
老人ホームの費用の加算とは?
老人ホームの費用の加算とは、介護保険制度で決められた料金になります。
これは、その施設が頑張ったことに対しての国からのご褒美のようなものです。
例えば、「夜に勤務している職員が規定の人数通りまたはそれ以上いますよ」とか、「療養食を提供していますよ」とか、「機能訓練を行っています」など、施設の取り組みが介護保険制度の基準に準じていると施設がもらえるものなのです。
言い方が変ですが、施設がもらえるもの=利用している方からいただく(1割〜3割)ということになります。
この加算は、全員からいただく項目もあれば、そうでない項目もありますし、施設によりどんな項目を設定しているかも違います。
例えば介護職離れを減らすために設置された「介護職員処遇改善加算」というのがありますが、これは施設が職員のために職場環境を整備したりしているかによっていただける加算です。
また、介護職員に介護福祉士を保有している職員が何人いるかなどによって加算される「サービス提供体制強化加算」というのもあります。
どちらも要件を満たしていないと算定できないですが、選んだ施設にこの加算が表示されていたら利用する側で選択することはできず、必ず入所費用にプラスされます。
その他には、選択できる加算もあり、あまりの数の多さにすべてご紹介はできませんが、機能訓練をしなければその加算はかかりませんし、普通の食事で大丈夫であればやはり療養食に関する加算はかかりませんといった具合です。
このように、どの加算を施設が設定していて、どんな加算を選択し利用するのかによって、1日単位で費用が発生します。
ただし、健康に入所生活を送ることを前提に考えることをお忘れなく。
本当に必要な加算を断ることはお控えくださいね。
老人ホームの費用の滞在費とは?自己負担
滞在費という言葉でお分かりになると思いますが、滞在費とはお部屋代のことです。
基本の費用にこの滞在費は含まれていませんので、1日ごとに発生する自己負担金となります。
この滞在費は、老人ホームが独自に設定するもので、1日数百円のところもあれば数千円のところもあり、老人ホームの費用の中で非常に大きな部分を占めます。
例えば1日の滞在費が1,000の場合は1ヶ月で30,000円、1日2,000円の場合は1ヶ月60,000円になるわけですから、かなりの差になってきます。
滞在費の安い老人ホームを選ぶには直接問い合わせるのが一番ですが、老人ホームの作りや部屋タイプでだいたい費用の検討がつきます。
個室は高く、大部屋は安いといった感じです。
しかし一時的な入所ならどんな部屋でも良いと思いますが、長く生活をすることを考えると本人の希望をできる限り考慮してあげるのが良いと思います。
また、プライベートやご家族が面会にきた時のことなどを考えると、やはり個室を選ぶ方が多いようです。
老人ホームの費用の食費とは?自己負担
食費は人間絶対にどこにいてもかかるものなので、自宅にいても同じだとは思いますが、この食費も老人ホームごとに差があり、1日数百円から数千円の差がありこれも自己負担となります。
そのため安い老人ホームでは月に30,000円位、高い老人ホームでは月に60,000円位の費用が発生します。
そして食費の計算方法は1日毎のところが多く、出かけるから1食分引いておきますねというようなことは殆どありません。
※たまにそういった良心的な老人ホームもあります。
介護保険制度の老人ホームは営利目的ではないので、高ければそれだけ栄養管理をされたおいしい物が食べられると思いますが、お口に合うかどうかは本人にしかわかりませんね。
実際の食事内容は、老人ホームにより、食事は施設内で作っていたり外注していたりと様々です。
そしておかずも3品や4品と異なります。
温かい出来立てをおいしくいただくのが幸せですね。
意外にかかる滞在費と食費の軽減措置について
食費と滞在費には負担軽減制度というのがあります。
これを申請して認定してもらえれば、滞在費と食費が半額以下になる場合があります。(認定の段階による)
申請は本人の住んでいる自治体の窓口へ行き、書類などを提出するだけです。
【負担軽減制度の対象者】
・世帯全員が市民税非課税
・配偶者(世帯分離の配偶者も含める)が市民税非課税
・預貯金などの資産基準にあてはまっている(配偶者なし1,000万円・配偶者あり2,000万円)
該当しそうだという方は、早めに申請してください。
認定結果がでなくても、申請日から効力があります。
老人ホームの費用の日常生活費とは?自己負担
さて、ここまで基本費用・加算・滞在費・食費とご説明してきましたが、最後は日常生活費についてです。
この日常生活費も施設により大きく異なり自己負担となります。
レクリエーションに使用する費用や日用品に充てる費用、電気代や洗濯代など、設定されている費用はさまざまです。
どれも老人ホームで施設で生活するのにかかせないものなので、割り引いてほしいとは言いずらいと思いますが、たとえば洗濯は家族が持ち帰って行っても良いのか、日用品には何が含まれているのか確認しておくことは大切です。
洗濯代も3,000〜5,000円位かかるところもありますし、日用品にはシャンプーやティッシュ、タオル、歯磨きセットなど全て含まれていて、家族で用意しなくても大丈夫など、聞いてみないと知らずに終わってしまいます。
必要なものと不必要なものが選択できる老人ホームだと、より利用する側に優しいですね。
老人ホームを検討しているけど、実際に費用はどの位かかるのか?だいたいの費用の説明をさせていただきました。
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まとめ
・老人ホームには、基本費用の他に加算・滞在費・食費・日常生活費などがある
・老人ホームの加算・滞在費・食費・日常生活費は施設によってことなる
・数ある老人ホームから条件にあった施設を探すには、妥協をせずに時間をかけてじっくり納得いくまで探すことが費用を抑える解決となる。